宗教のきほん 「愛」の思想史
トマス・アクィナスによる愛の理論の全体像 =カソリック
- 神がこの世界全体を、またそのなかに生きている一人ひとりの人を愛してくださる。
- その神によって愛されている自分を自分が愛する
- そういうことができるようになると、自分だけではなくて、自分の周りにいる他者をも同じように神から愛されている存在として大切にするようになっていく。
神がこの世界全体を、またそのなかに生きている一人ひとりの人を愛してくださる。
- 旧約聖書
- 人間が神に似せて創造された
- 人間が神と交流することができる
- 神を愛し返していく、そうした相互的な交流が可能な存在として創造された
- 神の慈しみのもとに善きものとして創造されたこの世界全体
- 「神の像」として創造された人間
- 神の根源的な肯定のもとに存在しているこの世界と人間
- その人間と共に歩む神
- 牧神
その神によって愛されている自分を自分が愛する
- 新約聖書
- キリスト教が与えてくれる最も根本的な「救い」
- 自分が存在するのはよいことであり、自分はこの世界の根源である神の愛に包まれながら存在していることに気づく
- プラトン『饗宴』
- エロース
- 真の満足を追い求めて生きている人間を突き動かしている根源的な原動力
- エロースの上昇の歩みの終着点において、人は「美のイデア」を目の当たりにする
- キリスト教的な「神の愛」
- 自己自身をありのままに肯定的に受容し、
- そのことによって隣人との肯定的な関係性を確立していくという
- 人間誰もが直面する課題と深くつながっている
自分だけではなくて、自分の周りにいる他者をも同じように神から愛されている存在として大切にする
- 新約聖書
- 「父なる神」からの愛に包まれ促されるようにして、イエスも弟子たちを愛してきた
- アリストテレス
- 友愛フィリア
- 有用性や快楽に基づく友愛は、理想的な友愛と比べて不十分だからと言って排除するべきものではない。
- アウグスティヌス
- 敵愛
- 敵を愛するとは敵が神のうちにあることを願う
スコラ哲学
- 「知性の単一性」
- 知性が一人ひとりの頭を通じて思考活動をおこなっている
- キリスト教においては一人ひとりの人間が知性(理性) を持っていて、自分の頭で考えて行動を積み重ねていく、その結果、天国に行けたり行けなかったりすると考える
- 信仰は単なる理性を超えた思い込みのようなものではなくなり、それなりの合理性を有する
- 「理性的」な態度
- 理性を超えた事柄が書かれている聖書のような文書にも自らを開いていこうとする限りなく開かれた態度
- 神の「恩寵」と人間の「自由意志」との協働による救済の実現
- 恩寵(gratia)」
- 神が無償で与えてくださる特別な恵み
- 「自由意志」
- 人間が自分の判断で様々な選択肢を選び取っていく
- 「徳」としての「愛」
- アリストテレス 徳
- 良い習慣
- 「カリタス」
- 安定的で持続的な愛
- 「愛徳」
- 徳としての愛